カズオ・イシグロ『日の名残り』[ここが面白い]

読書好きの私がおすすめする世界文学を紹介します。

自分が面白いと思ったポイントを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

カズオ・イシグロ日の名残り

今回はカズオ・イシグロさんの「日の名残り」です!

カズオ・イシグロさんと言えば2017年にノーベル文学賞を受賞して話題になりましたよね。

カズオ・イシグロさんの代表作が『日の名残り』です。この作品はイギリスの文学賞英語圏最高の文学賞とされるブッカー賞も受賞しています。

あらすじはウィキペディアが参考になりますのでみてみてください。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E3%81%AE%E5%90%8D%E6%AE%8B%E3%82%8A

私が面白いと感じたポイントを紹介します。(ネタバレを含みます)

面白いところ :信頼できない語り手

本書では「信頼できない語り手」という手法が使われています。

「信頼できない語り手」というのは語り手の記憶が曖昧だったり、読者を騙そうとしていたり、精神に問題がある語り手であったりすることをいうそうです。

本書では主人公である執事のスティーブンスが語り手です。物語ではスティーブンスが過去を回想するシーンが中心になって描かれています。

ティーブンスは屋敷の主人であるダーリントン卿をとても尊敬し心酔しています。前半から中盤にはダーリントン卿の尊敬できるエピソードが回想のなかに出てきます。

ティーブンスは今は亡きダーリントン卿を今でも尊敬しているのですが、後半にかけて徐々にダーリントン卿が必ずしも有能ではないと思われるシーンも描かれます。

しかし、スティーブンスはそれでもダーリントン卿を尊敬している形で回想シーンが描かれています。

私が面白いと思ったのはこのポイントです。

つまり、物語の中では終始スティーブンスがダーリントン卿を尊敬している形で描かれているのですが、物語が終盤になるとダーリントン卿が有能ではないことが読者には分かるのです。

ティーブンスには尊敬の念があるために、直接的には有能ではないことは語られず、ある種の偏った見方から主人について語られています。

これが本書のポイントの一つである「信頼できない語り手」です。

日の名残り」を読んでこの手法を知って、文学は本当に面白い!と思いました。

自分が小説を書くとしたらこの手法で同じように読者に理解してもらうのは、とても難しく、ややこしい作業だなと感じました。

最後に

今回はカズオ・イシグロさんの『日の名残り』の「信頼できない語り手」という手法を紹介しました。

この手法を理解した上で本書を読むと今までの読書にはない体験が得られると思います!

ぜひ「日の名残り」を読んでみてください!ストーリーも面白いのでとてもおすすめです!