【ポイント3つ!】初心者向け決算書の読み方 貸借対照表編【ざっくり分かる!】
決算書を読めるようになりたい
決算書をどこからみていいのか分からない
決算書の内容を正しく分析できるようになりたい
こんな風に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は中小企業診断士や簿記の資格を持ち、200社以上の中小企業の決算書を見てきた私が、決算書の貸借対照表でまず確認すべきポイント3つをまとめました。
本記事を読んでいただけば、企業の決算内容が貸借対照表から理解できるようになります。
ポイントを3つに絞りましたので、ざっくりとした把握にはなりますが、まずはここからスタートしましょう!
現金・預金の額を月商と比較しよう!
ポイントの1つ目は現金・預金の額がどれくらいあるか確認することです。
具体的には現金・預金の額がその企業の月商つまり、ひと月の売上で考えて何ヶ月分あるかを把握することです。
基準としては月商で1から2ヶ月分を一つの目安としてください。(もちろん業種によって必要額は違いますが一つの目安です)
例えば年商つまり年間の売上高が1億2000万円であれば月商は1000万円です。
この額と実際の現金・預金の合計が1000万円と比較して多いか少ないか比べてみましょう。
これより多ければ多いほど資金繰りには余裕がある場合が多く、少なければ少ないほど資金繰りに余裕がない場合が多くなります。
なぜ、現金・預金の額を確認するかというと、現金・預金がなくなった時が企業が潰れてしまう時だからです。
現金・預金がなくなれば、仕入れをしたり借入金を返済したり、従業員への給料を払ったりできなくなります。
こういった状況では企業の存続は難しいですよね。
ですので、まず現金・預金の額は必ず確認しましょう!
もう一歩踏み込んで 現金・預金の額の推移を把握する
さらにもう一歩踏み込むと、毎年の現金・預金の額の推移を把握できるといいです。
毎年の額の推移をみて、段々と現金・預金の額が減少しているような場合は注意が必要です。
現金が減っているということはその年の企業の収支がマイナスということですが、それが何年も続いている場合には慢性的に赤字体質であることがあります。
要因をはっきりさせることが重要です。
長期借入金÷当期純利益が10を下回るか確認しよう!
ポイントの2つ目は長期借入金の額がどれくらいあるか確認することです。
長期借入金の額の中でも特に金融機関からの借入金の額を確認しましょう。
基準としては長期借入金の額を損益計算書の当期純利益の額で割って10を下回るかどうかです。
例えば、長期借入金が1000万円で当期純利益が100万円であれば、長期借入金÷当期純利益は10となります。
これで何をみたいかというと、当期純利益を全て長期借入金の返済にまわしたときに、10年で返済が終わるということです。
通常の長期借入金は長くて10年程度の返済期間となっている場合が多いです。
長期借入金は利益から返済するのが普通ですので長期借入金÷当期純利益が10以内であれば返済に必要な利益がある程度確保されていると言えます。
これが例えば長期借入金が1000万円で当期純利益が10万円だと、長期借入金÷当期純利益は100になります。
これはその年の当期純利益の水準では長期借入金を全て返済するのに100年かかることを意味します。
返済に必要な利益額とは言えないですよね。
当然資金繰りも厳しそうだと考えられます。
長期借入金÷当期純利益が10を下回るか確認しましょう!
繰越利益剰余金の額を確認しよう!
3つ目のポイントは繰越利益剰余金の額の確認です!
繰越利益剰余金は貸借対照表の純資産の部の科目です。
繰越利益剰余金はどういった科目かをざっくり説明しますと、これまでの当期純利益(または損失)の累計です。
創業してから毎年100万円の利益を10年間続けた場合、繰越利益剰余金はざっくり1000万円になるイメージです。
なぜ、繰越利益剰余金の額を確認するかといえば、これまでどれだけ利益を積み重ねてきたかがこの科目を見れば分かるからです。
毎年100万円の利益を10年間続けた場合は1000万円になりますが、反対に毎年100万円の損失(赤字)が10年間続いた場合、繰越利益剰余金はマイナス1000万円になります。
繰越利益剰余金がプラス1000万円なのとマイナス1000万円の場合でどちらが業績が良さそうかは一目瞭然ですよね。
もちろん例外はありますが、繰越利益剰余金の額が大きいほどこれまで利益を積み重ねてきた可能性が高いですから、業績が良い企業であることが多いです。
逆に繰越利益剰余金の額が少ない、あるいはマイナスの場合はこれまでの業績が厳しい場合が多いです。
繰越利益剰余金の額を大きさをチェックして、これまでの業績を想像してみましょう!
まとめ
今回は決算書の貸借対照表で確認すべきポイント3つを紹介しました。
1 .現金・預金の額を月商と比較する
2 .長期借入金÷当期純利益が10を下回るか
3 .繰越利益剰余金の額を確認する
これらのポイントをチェックすれば貸借対照表からざっくりですが、その企業の経営状況が見えてきます。
まずは3つのポイントを確認するところから始めてみましょう!